確定拠出年金(DC)のマッチング拠出の活かし方について、今回は高年代向けの考え方をお伝えします。
高年代では単年の税制優遇効果が大きい
マッチング拠出の最大のメリットは税制優遇です。
50歳代にもなると、所得の増加により、所得税率も20%以上の人が多くなってきます。
住民税率10%と合わせて、合計30%以上の所得控除が受けられるでしょう。
しかし、受け取り(60歳)までの時間が少ししかありません。
税制優遇を数年間しか受けられないのです。
さらに、あまりハイリスクな運用も難しくなります。
「運用益非課税」という恩恵も受けにくくなるのです。
それでは、高年代の方はどのようにマッチング拠出を活かしたら良いのでしょうか。
「定期預金」でも十分な効果が見込める
ポイントは、「投資ではなく貯蓄で良い」ということです。
マッチング拠出で出したお金は、株や債券などは買わず、定期預金や保険といった「元本確保型商品」を購入すると良いでしょう。
どうせ10年も経たないうちに受け取ることになるのですから、10年定期に預けると思って、マッチング拠出を使って元本確保型に配分しましょう。
数年で戻ってくるお金と考えれば、金額は大きく拠出できます。
また、大きな金額であるほど、所得控除で税金が安くなります。
しかも、元本割れも防げます。
マッチング拠出をしたら「配分変更」をする
注意事項としては、マッチング拠出を使った場合、会社掛金と個人掛金は分別管理されません。
合算されるのです。
例えば、毎月の商品配分を債券100%としている場合。
会社掛金が1万円、個人掛金が1万円であれば、このままでは債券が2万円購入されてしまいます。
会社掛金で債券、個人掛金で定期預金を購入したければ、「債券50%、定期50%」と割合を変更しなければなりません。
忘れずに商品配分変更を行いましょう。
以上のように、高年代の人は、マッチング拠出を最も効果的・安定的に活用することができるのです。
しかし、それが本人に伝わっていないと、せっかくのマッチング拠出制度が活用されません。
従業員にしっかりと説明を行い、老後資産形成の一助として活用してもらいましょう。
※本記事は一般的な考え方の参考例であり、効果を確約するものではありません。
判断は本人の責任において行ってください。