会社を中途退職したら「個人型DC」に移換

従業員が中途退職した場合、確定拠出年金(DC)は原則として60歳まではもらえません。

現状では、極端に残高が少ない場合に限り(残高1万5千円以下)脱退一時金として受け取れます。
ただし、勤続3年未満の中途退職の場合は、会社掛金を返還するというルールになっている会社が多いと思います。

ですので、中途退職後に受け取れる人はまれで、それ以外の残高のある人は個人型に移換することになります。

ここで、個人型の金融機関はどこにするか、という選択肢が生まれます。

「ん?在職中の確定拠出と同じ金融機関じゃなくていいの?」と思う人がいるかもしれません。

そうです。どこの金融機関でも構いません。
会社ではA銀行だったところ、個人型はB証券、ということができます。

「個人型確定拠出年金」を扱っている金融機関を自分で探し、申し込みすれば良いのです。

金融機関によって、口座管理手数料もピンキリです。
残高が一定額以上であればほぼ無料のところもあれば、年間5,000円くらいかかる金融機関もあります。

また、運用商品も金融機関ごとに違います。
幅広いラインナップのところもあれば、自社の金融商品しか選べないところもあります。

これは、自分できちんと調べて決めるべきでしょう。
ネットで調べればわかることです。

個人型DCの金融機関を、在職時と同じところにしてしまうカラクリ

しかし、実際には、在職中の企業型確定拠出年金と同じ金融期間に、個人型をそのまま移換する人がほとんどです。

これには、理由があります。

まず、退職が決まると、会社側が従業員と退職手続きをします。
そこで、確定拠出年金の説明もあります。
しかし、他の手続きもある中、サラッとしか話さない場合が多く、企業型確定拠出年金の金融機関が作ったパンフレットを渡して「あとは読んでおいて」で終わってしまいます。

後日、従業員は今一度パンフレットを見ます。
すると「退職したらまずコールセンターへTELを!」と書いてあります。
とりあえず電話して「会社辞めたんですけど」と話をすると、なんだかコールセンターの言われるがままに手続きが進み、申し込み書類が送られてきます。

申し込み書類に記入して、返送したら手続き完了です。
無事、勤務時と同じ金融機関に個人型の申し込みがされました。

このような流れで、中途退職した従業員は、他にもっと条件の良い金融機関が選べるとも知らず、前と同じ金融機関で個人型に申し込んでしまうのです。

金融機関のコールセンターは、「個人型はウチでいいんですか?別にもっと条件の良いところありますよ?ちゃんとどこが良いか検討しましたか?」なんて当然言ってくれません。

ここはやはり会社のほうから、個人型への移換は自分で金融機関を選べること、金融機関によって商品や手数料が違うことを教えてあげるべきでしょう。

退職後の確定拠出年金の手続きについてきちんと説明するのは、会社の義務なのです。